食物アレルギーの診断に於いては、以下の項目について詳しく検討します。
- 問診
- 皮内反応
- 血液検査
- 食物除去試験・食物負荷試験
- まず、最も重要な項目は問診です。食物アレルギーがあるかもしれない?と疑問に思える出来事が起こる。
例えば、初めて卵製品や乳製品を食べた直後より2時間以内に、全身に蕁麻疹が出現したり、嘔吐・下痢を認めたり、意識を失ったり、元気がなくなったり・・・などの症状を認めた場合には、食物アレルギーの可能性が高いと考えられます。湿疹が増えてきたというだけで食物アレルギーと診断することには、無理があります。
- 乳児の湿疹に対して、皮内反応(おもにプリックテスト)を行いますが、卵、牛乳や小麦は高率に陽性を認めます。このことは、特異的なIgE抗体が血液中に存在することを意味しております。卵や乳製品を食べても、まったく問題のないケースも多く見られます。皮内反応はあくまでも参考所見であり、食物アレルギーを確定する検査ではありません。
- 血液検査には、血清中の総IgE抗体と特異的IgE抗体(例えば、卵や牛乳などに対する特異的抗体)を調べる検査があります。血液検査も皮内反応と同様に参考所見であり、食物アレルギーを確定するものではありません。検査が陽性に出ても、まったく問題なく食べることができる場合も多いと考えられます。
- 食物除去試験・経口食物負荷試験は、食物アレルギーを正しく診断する方法と考えられています。原因と考えられる食物を2週間除去して、症状の改善を確認します。その後に原因食物を経口摂取して、症状の再現を確認します。
食物除去に関しては、多くの医療機関で行われていますが、食物負荷試験を積極的に行っているところは限られております。
問診を詳しく聞いて、判断することが大変重要なことです。皮内反応や血液検査の結果は、あくまでも補助診断であり、食物アレルギーを確定するものではありません。食物の除去に関しては、慎重に進めることが大切です。
クリニックを開設して、およそ1カ月が過ぎました。最初のころは、私もスタッフも余裕がなく、電子カルテや予約システムの運用に時間がかかっておりました。最近は、受付・診察、健診・予防接種など、全てスムーズに対応できるようになっております。
平塚共済病院にいた頃は、アレルギー疾患・一般小児科外来を主に担当してきました。最近では、各専門学会よりアレルギー疾患の治療ガイドラインが出されるようになり、正確な診断と適切な治療の啓蒙が行われております。
一方、実際の診療の場においては、医師の考え方の違いにより、治療方針や治療薬の選択には違いが出てきます。患者さんに合った治療を選択するという(オーダーメード医療)考え方も大切であり、治療方法は複数の選択肢から選択されることも重要と思われます。
さて、食物アレルギーの話に戻ります。0歳児の食物アレルギーの主要食品は、鶏卵・牛乳・小麦です。したがって、食物アレルギーの治療である食物除去療法は、乳児期より開始されることがほとんどです。
離乳食を開始する時期に除去食療法がおこなわれることは、ご家族(特に母親)にとって、とても大変なことです。食材の選択や加工品の成分に注意をして、離乳食を作ることになります。卵の除去だけならば、比較的行いやすいのですが、乳製品や小麦製品の除去が加わった場合には、非常に困難を極めます。
ここで、重要なことは除去食療法を行うことが本当に必要なことなのか?診断と治療方針がこども達にとって、まぎれもなく正しいことなのか?慎重に検討する必要があります。
成長発達の著しい乳児期に食物制限を加えることは、本人のみならず保護者の方の心理的・経済的負担を大きくします。
食物アレルギーの診療においては、「正確な診断と必要最小限の食物除去に心掛けること」が何よりも重要と考えます。
乳児アトピー性皮膚炎を有するこども達の中には、食物アレルギーを合併するケースがあります。卵や牛乳を除去することにより、症状が劇的に良くなるケースもあります。
一方、乳児アトピー性皮膚炎の治療において、適切な軟膏療法がなされないために湿疹の悪化を認め、食物除去を行うケースも見られます。食物除去を行う前に、適切な治療(環境整備、スキンケア―、軟膏療法)を行い、それでも症状の改善を認めないときには、食物除去を検討するべきと考えます。
また、アナフィラキシーを伴う食物アレルギーの場合には、湿疹の有無にかかわらず、適切な食事指導が必要になります。
食物除去に対して、悩んでおられる方は、お気軽にご相談ください。一般外来、アレルギー外来でいつでも、ご相談に応じています。
クリニック開院以来、アトピー性皮膚炎の相談に来られる患者さんが増えています。
同時にちょっと気になることがあります。予想以上に食物アレルギーのこども達が多いことです。卵や乳製品を完全に除去しているこども達が多いように思います。
食物アレルギー診療のガイドラインが厚生労働省より発行されていますが、食物アレルギーの診療においては「必要最小限の食物除去に努めること、更に適切な時期に除去を解除すること」を提言しております。
不必要な食物除去は、患児・家族の心理的・経済的な負担を大きくするもので、正確な診断と同時にきめ細かい診療が求められます。
ある患者さんは、乳児期に卵と乳製品を完全除去して、現在4歳になろうとしています。その間に食物負荷試験を受けていない様子でした。乳児期に卵や乳製品のアレルギーを認めるこども達の多くが、1-4歳までに食物アレルギーが改善します。
食物除去の開始や除去を解除するには複数の医療機関で相談をして、きめ細かい診療を受けられることを提案いたします。
【参考文献】
食物アレルギーの診療の手引き2008